金銭債務の会計処理~その2~

預り金

預り金

 職員以外の者からの一時的な預り金をいいます。役員からの一時的な預り金などを計上します。但し、施設利用者から預かる金銭等は、法人に係る会計とは別途管理しますが、この科目には計上しません。この場合においても内部牽制に配意する等、個人ごとに適正な出納管理を行うこととされています。実務上、預り金勘定を使用することは稀です。

職員預り金

 源泉徴収税額及び社会保険料などの徴収額等、職員に関する一時的な預り金をいいます。

例)職員給料450万円から社会保険料80万円、源泉所得税20万円、住民税30万円を控除して支払った。

職員給料   4,500,000 / 職員預り金 1,300,000
               現金預金  3,200,000

職員給料支出 4,500,000 / 支払資金  4,500,000

長期預り金

 固定負債で長期的な預り金をいい、軽費老人ホーム(ケアハウスに限ります。)等における入居者からの管理費等預り額をいいます。ケアハウス・有料老人ホーム等で将来のサービス提供に係る対価の前受分として利用者から預かる金銭は法人に係る会計に含めて処理するものとします。

例1)軽費老人ホームの入居者から居住費用として500万円を一括して徴収した。なお、同額の積立てを行った。

現金預金        5,000,000 / 長期預り金 5,000,000
長期預り金積立資産   5,000,000 / 現金預金  5,000,000

支払資金        5,000,000 / 管理費収入 5,000,000
長期預り金積立資産支出 5,000,000 / 支払資金  5,000,000

例2)一括徴収分のうち、返還不要となった30万円を年度末に償却した。

長期預り金 300,000 / 管理費収益         300,000
現金預金  300,000 / 長期預り金積立資産     300,000

支払資金  300,000 / 長期預り金積立資産取崩収入 300,000

例3)退去した入居者に係る一括徴収分100万円を返還した。

長期預り金   1,000,000 / 現金預金          1,000,000
現金預金    1,000,000 / 長期預り金積立資産     1,000,000

管理費返還支出 1,000,000 / 支払資金          1,000,000
支払資金    1,000,000 / 長期預り金積立資産取崩収入 1,000,000

前受金

 物品等の売却代金及び役務提供の対価の一部又は全部の前受額をいいます。福祉用具貸与におけるレンタル料の前受額などを計上します。

例)松葉杖の1月分の貸出料2千円を、利用者から貸し出しの際に受け取った。

現金預金 2,000 / 前受金 2,000

仮受金

 処理すべき科目又は金額が確定しない場合の収入金額を一時的に処理する科目です。利用者からの利用料の誤入金額等を計上します。科目の性質上、原則として、決算ではこの科目に計上されたものは本来の科目に振り替えられ、残高はなくなります。

例)保育所における私的契約の利用料12万円を預かったが、5千円は誤入金である。

現金預金 120,000 / 私的契約利用料収益 115,000
            仮受金        5,000

支払資金 115,000 / 私的契約利用料収入 115,000

リース債務

 リース料総額から利息相当額を控除した金額で、貸借対照表日の翌日から起算して支払の期限が1年を超えて到来するものをいいます。なお、リース債務のうち、貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に支払の期限が到来するものを「1年以内返済予定リース債務」として表示します。リース取引の詳細は、社会福祉法人のリース取引の会計処理をご覧ください。

長期未払金

 固定資産に対する未払債務(リース契約による債務を除きます。)等で貸借対照表日の翌日から起算して支払の期限が1年を超えて到来するものをいいます。リース債務同様に、貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に支払の期限が到来するものを「1年以内支払予定長期未払金」として表示します。

例)パソコン本体25万円を、割賦手数料2万円の48回賦払いで購入した。割賦手数料の処理は原則的方法(固定資産の取得価額を参照)とする。

① 購入時

器具及び備品 270,000 / 長期未払金 270,000
資金収支仕訳なし

② 支払時

長期未払金   5,625 / 現金預金 5,625
長期未払金支出 5,625 / 支払資金 5,625