固定資産の取得価額と期末評価額

固定資産の種類

有形固定資産

① 土地
 法人に帰属する土地をいいます。土地は社会福祉法人の事業の基礎となる資産ですが、保育所施設の弾力運用等を除き、施設整備の補助の対象にはなりません。地方公共団体から贈与又は通常の価額より低い価額で取得した場合、時価と取得価額との差額は寄付金とせずに、国庫補助金等に含めて取り扱います。施設建築のために、敷地の整備に関する補助が地方公共団体により行われた場合も国庫補助金等として処理します。

② 建物
 法人に帰属する建物及び建物附属設備をいいます。建物附属設備は貸借対照表上において、建物の勘定に含めて処理しますが、建物本体と耐用年数が異なることから、固定資産管理台帳において別途把握する必要があります。なお、建物附属設備は以下に掲げるようなものです。

  • 建物内部の電気、照明、給排水、衛生、ガス、空調、冷暖房、ボイラー等の設備
  • エレベーター、消火・排煙、災害報知機、格納式避難、ドアー自動開閉措置等の設備
  • 可動間仕切り

③ 構築物
 建物以外の土地に固着している建造物をいいます。例えば、次のようなものです。

  • 緑化施設、庭園
  • 駐車場等の舗装道路、舗装路面
  • 下水道、塀、門、石積
  • 植栽、ゴミステーション等

④ 機械及び装置
 機械及び装置をいいます。医療用機器は器具及び備品とされることから、就労支援事業及び授産事業の用に供される製造用の機械及び装置が主なものになります。

⑤ 車両運搬具
 送迎バス、乗用車、入浴車等をいいます。一般に自動車といわれる四輪車だけでなく、二輪車、原動機付自転車、自転車や自走能力のないものも含まれます。

⑥ 器具及び備品
 1台又は1式の取得価額が10万円以上で、かつ耐用年数が1年以上の器具及び備品をいいます。

⑦ 建設仮勘定
 有形固定資産の建設、拡張、改造などの工事が完了し稼働するまでに発生する請負前渡金、建設用材料部品の買入代金等をいいます。設計費、監理費、仮設工事費も含まれます。

無形固定資産

① 権利
 法律上又は契約上の権利をいいます。

  • 電話加入権
    電話回線を架設したときの電話会社に通話を請求し得る権利で、施設負担金と契約料をいいます。電話加入権は減価償却資産ではないので、10万円未満でも計上する必要があります。
  • 借地権
    建物の所有等を目的とする地上権又は土地の賃借権をいいます。契約に際し支払った金額のうち、敷金や保証金のように返還される部分以外の金額、例えば権利金や敷金損料などが該当します。
    なお、従来社会福祉施設の敷地の賃借は、都市部を除き原則として国又は地方公共団体からのものに限られていましたが、一定の施設はその要件が緩和され、一定の条件のもと都市部以外でも国又は地方公共団体以外の者からの借地によって設置することができます。

② ソフトウェア
 コンピュータソフトウェアに係る費用で、外部から購入した場合の取得に要する費用ないしは制作費用のうち研究開発費に該当しないものをいいます。

取得価額の算出

 固定資産の取得価額は、その取得形態に応じて、それぞれ次により算出した金額となります。

① 購入した資産
 購入代価に引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、その他の引取費用、据付費、試運転費などの付随費用を加算した額

② 製作又は建設した資産
 直接原価に、製作又は建設のために直接要した付随費用を加算した額

③ 通常要する価額と比較して著しく低い価額で取得した資産又は贈与された資産
 取得又は贈与の時における当該資産の取得のために通常要する価額

④ 交換により取得した資産
 交換に対して提供した資産の帳簿価額

⑤ 割賦購入資産
 賦払金の総額をその資産の取得価額とすることが原則です。但し、契約において割賦期間分の利息相当額が明らかに区分されている場合は、その利息相当額を資産の価額に含めず、前払金として処理し、その割賦期間に応じて支払利息又は手数料として毎会計年度計上することができます。

貸借対照表価額(期末評価額)

 固定資産については、その取得価額から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とします。固定資産の会計年度末における時価が取得価額より著しく低い場合には、時価が取得価額まで回復すると認めれる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額としなければなりません。なお、使用価値を算定できる固定資産については、その固定資産の使用価値が時価を超えるものについては、取得価額から減価償却累計額を控除した価額を超えない限りにおいて、使用価値をもって貸借対照表価額とすることができます。使用価値により評価できるのは、対価を伴う事業に供している固定資産に限られますので、社会福祉事業のみを行っている施設で収益事業を行っていない場合には、使用価値を算定するケースは稀です。