社会福祉法人の介護保険施設等における会計処理
介護保険施設等(施設系サービス)の概要
介護保険施設等は下記の通りで、1~3を介護保険施設といいます。
1.介護老人福祉施設
入所定員が30人以上である特別養護老人ホームであって、入所する要介護者に施設サービス計画に基づき入浴、排せつ、食事等の介護その他日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設です。
2.介護老人保健施設
病状が安定した一定の要介護者に、施設サービス計画に基づき、看護、医学的管理下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設です。
3.介護医療院
要介護者であって、主として長期にわたり療養が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設です。
4.介護療養型医療施設
療養病床等を有する病院又は診療所であって、その療養病床等に入院する一定の要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護その他の世話及び機能訓練その他必要な医療を行うことを目的とする施設です。
5.地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
入所定員が29人以下である特別養護老人ホームであって、当該特別養護老人ホームに入所する要介護者に対し、地域密着型施設サービス計画に基づいて、入力、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話の対価をいいます。
仕訳の例示
介護保険施設と介護療養型医療施設
上記1~3の施設と介護療養型医療施設の介護給付費に係る保険、公費、利用者(軽減額含む)収入は、事業活動計算書及び資金収支計算書上は中区分において施設介護料収益(収入)を使用します。施設における食費や居住費の他理美容料、日常生活品、教養娯楽、入所者預り金の出納管理、健康管理による収入は中区分において利用者等利用料収益(収入)を使用します。
例1)介護保険の施設サービス分として保険請求額2000万円、公費請求額45万円、食費の公費請求額10万円、居住費の公費請求額15万円、合計2070万円を国保連に請求した。
事業未収金 20,700,000 / 介護報酬収益 20,000,000
利用者負担金収益(公費) 450,000
食費収益(公費) 100,000
居住費収益(公費) 150,000
支払資金 20,700,000 / 介護報酬収入 20,000,000
利用者負担金収入(公費) 450,000
食費収入(公費) 100,000
居住費収入(公費) 150,000
例2) 施設サービス分の利用者負担額として200万円(軽減額8万円)、食費の負担額220万円、居住費の負担額270万円、合計690万円を入所者に請求した。
事業未収金 6,900,000 / 利用者負担金収益(一般) 2,000,000
食費収益(一般) 2,200,000
居住費収益(一般) 2,700,000
利用者負担軽減額 80,000 / 利用者負担金収益(一般) 80,000
支払資金 6,900,000 / 利用者負担金収入(一般) 2,000,000
食費収入(一般) 2,200,000
居住費収入(一般) 2,700,000
支払資金 80,000 / 利用者負担金収入(一般) 80,000
利用者負担軽減額 80,000 / 支払資金 80,000
例3)利用者の選定した散髪料や日常生活サービス料の対価である30万円を入所者に請求した。
事業未収金 300,000 / 施設サービス利用料収益 300,000
支払資金 300,000 / 施設サービス利用料収入 300,000
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
介護保険施設等のうち、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の介護給付費に係る保険、公費、利用者(軽減額含む)収入は、事業活動計算書及び資金収支計算書上は中区分において地域密着型介護料収益(収入)を使用します。施設における食費や居住費の他理美容料、日常生活品、教養娯楽、入所者預り金の出納管理、健康管理による収入は中区分において利用者等利用料収益(収入)を使用します。
例1) 介護保険の地域密着型サービス分として保険請求額390万円、公費請求額5万円、特定入所者介護サービス費等として食費の保険請求額25万円、居住費の保険請求額30万、合計450万円を国保連に請求した。
事業未収金 4,500,000 / 介護報酬収益 3,900,000
利用者負担金収益(公費) 50,000
食費収益(特定) 250,000
居住費収益(特定) 300,000
支払資金 4,500,000 / 介護報酬収入 3,900,000
利用者負担金収入(公費) 50,000
食費収入(特定) 250,000
居住費収入(特定) 300,000
例2) 地域密着型サービス分の利用者負担額として50万円(軽減額2万円)を入所者に請求した。
事業未収金 500,000 / 利用者負担金収益(一般) 500,000
利用者負担軽減額 20,000 / 利用者負担金収益(一般) 20,000
支払資金 500,000 / 利用者負担金収入(一般) 500,000
支払資金 20,000 / 利用者負担金収入(一般) 20,000
利用者負担軽減額 20,000 / 支払資金 20,000
例3)利用者の選定した次に掲げるサービスの対価である30万円を入所者に請求した。
日常生活サービス料 25万 インフルエンザ予防接種費用 5万
事業未収金 300,000 / 地域密着型介護サービス利用料収益 250,000
受託事業収益 50,000
支払資金 300,000 / 地域密着型介護サービス利用料収入 250,000
受託事業収入 50,000
その他
下記に掲げる収入は、事業活動計算書及び資金収支計算書上は中区分においてその他の事業収益(収入)を使用します。
例1)高額介護サービス費の委任受領額20万円を市町村に請求した。
事業未収金 200,000 / 利用者負担金収益(一般) 200,000
支払資金 200,000 / 利用者負担金収入(一般) 200,000
例2)インフルエンザ予防接種費用の委託料6万円、要介護認定調査料2万円、合計8万円が市町村から入金された。
現金預金 80,000 / 受託事業収益(公費) 80,000
支払資金 80,000 / 受託事業収入(公費) 80,000