社会福祉法人と会計
1.会計基準の変遷
従来の会計基準は社会福祉施設等によって会計基準が統一されておらず、法人全体の財務状況を把握することは困難でした。また、公的資金等を受け入れていることから経営実態をより正確に国民に説明する責任があるため、事業の効率性に関する情報の充実や事業活動状況の透明化が求められていました。そんな背景から、会計処理基準の一元化を図ることを目的として平成23年に局長通知による基準が制定されました。平成27年3月31日までは移行期間として従来の会計基準が適用できるものとされていましたが、平成27年4月1日からは社会福祉事業、公益事業、収益事業のすべてに新しい基準が適用され、事務処理が簡素化されました。また、平成28年4月1日からは社会福祉法人会計基準として省令化されています。局長通知による基準と省令による基準は財務諸表から計算書類といった名称変更等はあるものの、作成書類に大きな違いはありません。
2.事業等の区分
局長通知による基準は、法人の事業を社会福祉事業、公益事業、収益事業の3つに区分し、さらに施設や事業所別に拠点区分を設けています。また、各拠点においても事業別にサービス区分が設けられることとなりました。従来は会計単位や経理区分ごとに異なる会計基準を設けていましたが、事業区分、拠点区分、サービス区分のどの階層においても同一の基準が適用されます。
3.法人が作成する計算書類等
社会福祉法人が決算作業において作成しなければならない計算書類等は以下の通りです。平成28年改正社会福祉法による法人の事業運営の透明性の向上を図る観点から、計算書類は当該法人が提供する福祉サービスの利用者などのみならず、国民も閲覧できるようになっています。また、法人の現況報告書や計算書類等も福祉医療機構が提供する財務諸表等電子開示システムによって報告することとなりました。
- 資金収支計算書
- 事業活動計算書
- 貸借対照表
- 注記
- 附属明細書
- 財産目録