医療費控除Q&A~医療費に基づく給付金等を受け取った場合
1.出産育児一時金を受領したケース
Q 出産に伴って次に掲げる支払いを行い、勤務先の健康保険組合から出産育児一時金42万円の支給がありました。総所得金額は400万円の場合に医療費控除の金額はいくらでしょうか。
①出産までに係る定期健診及びこれを受けるための通院費用 10万円
②出産費用 50万円
③出産をするために実家へ帰郷した際の交通費 2万円
④無痛分娩講座で腹式呼吸などの指導を受けたときの受講費用 3万円
⑤病院の担当医師等への謝礼金 1万円
A ①負担した医療費の額 10万円(健診及び通品費用)+50万円(出産費用)ー42万円(一時金)=18万円
②限度額 ア)10万円
イ)400万円(総所得金額)×5%=20万円
ウ)アとイの少ない方の金額 10万円
③医療費控除の額 ①-②=8万円
出産までの定期検診やこれに係る通院費用は、通常必要なものであれば医療費控除の対象となります。しかし、出産に伴って実家へ帰る交通費や無痛分娩講座の受講費用、担当医師等への謝礼金等は、診療又は治療の対価ではありませんし、診療又は治療を受けるために直接必要なものではないので、医療費控除の対象外となります。また、出産に伴って支給を受けた出産育児一時金は出産費用等の医療費控除の額から差し引くこととなります。
2.生命保険金を受領したケース
Q 交通事故による手術の治療のために病院に入院したの際の治療費として30万円支払い、生命保険会社より手術費用の補填として保険金40万円を受け取りました。また、上記の手術とは別に歯医者の治療費として15万円の支払もありました。総所得金額は400万円の場合に医療費控除の金額はいくらでしょうか。
A ①負担した医療費の額 30万円(治療費)-40万円(保険金)=△10万円→0円
15万円(歯の治療費)
②限度額 ア)10万円
イ)400万円(総所得金額)×5%=20万円
ウ)アとイの少ない方の金額 10万円
③医療費控除の額 ①-②=5万円
上記1と同様に治療費の補填として受け取った保険金は医療費の額から差し引きます。この際に受け取った保険金の金額の方が大きい場合は、保険金の支給と直接紐づかない医療費の額からは除く必要はありません。そのため、歯医者への治療費15万円が医療費の額とされます。