事業活動計算書の区分と資金収支計算書との違い
4つの区分
事業活動計算書は、サービス活動増減の部、サービス活動外増減の部、特別増減の部、繰越活動増減差額の部から構成されています。サービス活動増減の部は法人の経常的な事業活動における収益及び費用を記載しています。サービス活動外増減の部は経常的な収益及び費用のうち、受取利息配当金や支払利息などの社会福祉事業等のサービスの提供に直接紐づかない科目が記載されます。特別増減の部は施設整備のために国や地方公共団体から受領した補助金や固定資産の売却損益など経常的に発生しない事業活動に係る収益及び費用が記載されます。以上の3つの区分の額の合計が当期活動増減差額として1会計年度における純資産の増減内容を表しています。最後の繰越活動増減差額の部は前期繰越活動差額、基本金取崩額、その他の積立金の取崩額及び積立額が記載されます。サービス活動増減差額が黒字であれば経営に問題はありませんが、赤字である場合や前年度に比して大幅に減少している場合には経営状況の見直しが必要になります。
2.資金収支と事業活動
資金収支計算書は支払資金の増減を表し、事業活動計算書は純資産の増減を表します。資金収支計算書の支払資金はお金が増えた、減ったといった収支をイメージするとわかりやすいと思います。厳密には貸借対照表の流動資産が増えた(減った)場合に資金収支計算書において収入(支出)とされ、流動負債が増えた(減った)場合に支出(収入)とされますので、お金より範囲が広いです。近い将来にお金が増える又は減るであろう項目が支払資金の増減となります。事業活動計算書の収益及び費用は損得と捉えると良いでしょう。例えば、固定資産である建物が火事によって焼失した場合、支払資金の増減はないので資金収支計算書に影響しませんが、建物が無くなって損しているので事業活動計算書では費用科目として表現することとなります。もう一つ例をあげれば、銀行からお金を借りた場合です。お金が増えますので当然資金収支計算書では収入科目として表現していますが、いずれ返すことを考えると得しているとは言えませんね。その為、元金部分の返済額は事業活動計算書では何ら影響することはありませんが、金利の支払いについてはお金の支払いをしており、借りた金額以上の支払いをしている為、どちらの計算書においても表示することとなります。