医療費控除Q&A~親族の医療費を負担した場合~

共働き夫婦の医療費について

Q 私は正社員として妻はパートとして働いていますが、妻の年収から判断して配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けることができません。世帯の医療費の支払いは私が一括して行っていますが、妻の分の医療費は医療費控除を受けることができますか?

A 夫婦が生計を一にしている場合は、妻の医療費も含めて夫の医療費控除の対象となります。医療費控除は「自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払った場合」に適用を受けることができ、所得金額の要件は付されていません。そのため、所得要件によって扶養に入れない配偶者、両親、子どもであっても生計を一にしていれば、当該親族の医療費も支払った人の医療費控除の対象となります。

別居している親族の医療費について

Q 進学のために実家を離れて一人暮らしをしている子供が事故に遭ったため、病院に治療代を支払いました。子供に係る医療費は私の医療費控除の対象となりますか?

A 子供に対して常時生活費の援助を行っていたり、学校の余暇には実家に帰郷しているような場合は、医療費控除の対象となります。医療費控除は親族に係る医療費の支払いについて、当該親族が同居していることは要件とされていません。生計を一にしているかどうかが要件となります。上記のような場合には、生計を一にしていると認められますので、子供に係る医療費の支払いは医療費控除の対象となります。また、郷里で暮らしている両親や施設に入所している親族の医療費を支払った場合にも、生計を一にしていれば対象となります。

父親の扶養となっている母親の医療費を子供が負担した場合

Q 母親は会社員である父親の扶養に入っており、父親は配偶者控除の適用を受けています。母親の病気の治療費が多額であったため、子供である私が支払いを行いました。(私と両親は生計を一にしています。)医療費控除の適用を受けるのは誰ですか?

A 実際に医療費の支払いを行った子供の医療費控除の対象となります。親族の医療費を支払った場合、その親族が自分の扶養であるかどうかは問いません。そのため、母親が父親の控除対象配偶者となり、父親が配偶者控除の適用を受け、母親の医療費を子どもが支払い、子供が医療費控除の適用を受けることは問題ありません。

死亡した父親の医療費を相続人が負担した場合

Q 父親は入院治療中に死亡し、その後病院から入院治療期間の医療費を請求されました。この医療費は、相続人である私が父親の相続財産から支払いましたが、医療費控除の適用を受けるのは誰ですか?

A 父親が治療を受けた時に父親と相続人が生計を一にしていれば、医療費を支払った相続人の医療費控除の対象となります。親族に係る医療費は、医療費を支払うべき事由が生じたとき又は現実に支払った時の現況において自己と生計を一にしていることが要件とされます。従って、医療費を支払うべき事由が生じたときである、父親が治療を受けた時に相続人と父親が生計を一にしていれば、その医療費は相続人の医療費控除の対象となります。
 また、医療費を父親の相続財産から支払ったとしても、支払時に父親は死亡しており、父親自身は支払っていませんので、父親の準確定申告において医療費控除の適用を受けることはできません。なお、当該医療費は、父親の相続税の計算において、債務控除の対象となります。