金銭債務の会計処理~その1~
未払債務
事業未払金
事業活動に伴う費用等の未払債務をいいます。介護保険事業、障害福祉サービス事業等、医療保険、保育所又は措置費等支弁対象施設などにおける会計年度末の人件費、事業費及び事務費などの未払額を計上します。また、就労支援事業及び授産事業における原材料等に係る買掛金も、この科目に含まれます。
例)給食材料50万円の請求書を受け取った。
給食材料費 500,000 / 事業未払金 500,000
給食材料費支出 500,000 / 支払資金 500,000
その他の未払金
事業未払金以外の未払金をいい、施設整備等未払金を含みます。
例)建物の設計・監理費用100万円の請求書を受け取った。
建設仮勘定 1,000,000 / その他の未払金 1,000,000
建設仮勘定取得支出 1,000,000 / 支払資金 1,000,000
支払手形
事業の取引先との通常の取引に基づいて発生した手形債務をいいます。但し、取引先との間の金融手形又は貸付金の担保として交付を受けた手形は、事業活動によるものではありませんから、この「支払手形」には含まれません。就労支援事業における原材料等の買掛債務に関して振り出した手形債務などを計上します。また、平成20年12月1日に施行された「電子記録債権法」に基づいて電子記録債務の発生を受けた場合は、支払手形ではなく「電子記録債務」で処理することになります。
例)就労支援事業において使用する材料800,000について手形を発行して支払った。
当期材料仕入高 800,000 / 支払手形 800,000
就労支援事業製造原価支出 800,000 / 支払資金 800,000
借入金
運営資金借入金
経常経費に係る外部からの借入金で、貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に支払の期限が到来するものを「短期運営資金借入金」といいます。貸借対照表日の翌日から起算して支払の期限が1年を超えて到来するものを「長期運営資金借入金」といいます。なお、長期運営資金借入金のうち、貸借対照表日の翌日から起算1年以内に支払の期限が到来するものは「1年以内返済予定長期運営資金借入金」として表示します。
例)理事長の知人より運営資金として50万円を借り入れ、会計年度内に返済する契約書を結んだ。
① 借入時
現金預金 500,000 / 短期運営資金借入金 500,000
資金収支仕訳なし
② 返済時
短期運営資金借入金 500,000 / 現金預金 500,000
資金収支仕訳なし
役員等借入金
役員(評議員を含む)又は職員からの借入金で貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に支払の期限が到来するものを「役員等短期借入金」といいます。貸借対照表日の翌日から起算して支払の期限が1年を超えて到来するものを「役員等長期借入金」といいます。なお、運営資金借入金同様に、「1年以内返済予定役員等長期借入金」と分けて表示します。
例)平成30年4月1日に役員から運営資金として300万円を借り入れた。なお、返済期日は令和元年9月30日である。
① 借入時
現金預金 3,000,000 / 役員等長期借入金 3,000,000
支払資金 3,000,000 / 役員等長期借入金収入 3,000,000
② 決算時
役員等長期借入金 3,000,000 / 1年以内返済予定役員等長期借入金 3,000,000
資金収支仕訳なし
③ 返済時
1年以内返済予定役員等長期借入金 3,000,000 / 現金預金 3,000,000
役員等長期借入金元金償還支出 3,000,000 / 支払資金 3,000,000
設備資金借入金
施設整備等に係る外部からの借入金で、貸借対照表日の翌日から起算して支払の期限が1年を超えて到来するものをいいます。なお、 運営資金借入金同様に、「1年以内返済予定設備資金借入金」と分けて表示します。
例)建物の施設整備として3,000万円の借り入れを行った。返済は毎年1回均等返済の20年払いである。
① 借入時
現金預金 30,000,000 / 設備資金借入金 30,000,000
支払資金 30,000,000 / 設備資金借入金収入 30,000,000
② 決算時
設備資金借入金 1,500,000 / 1年以内返済予定設備資金借入金 1,500,000
資金収支仕訳なし
③ 返済時
1年以内返済予定設備資金借入金 1,500,000 / 現金預金 1,500,000
設備資金借入金元金償還支出 1,500,000 / 支払資金 1,500,000