固定資産と減価償却
減価償却の概要
減価償却とは?
減価償却は、固定資産の取得に要した費用を、その固定資産の耐用年数に応じて、適正に期間配分する目的で行われます。固定資産は使用または時の経過によって価値が目減りしていきますので、その価値の減少分を計算し費用化することを減価償却といいます。また、減価償却は事業活動計算書において費用として計上しますが、資金の支出を伴わないため資金収支計算書には反映されません。費用の額は結果的に内部に留保されることになるため、減価償却は将来における資産の再取得時の資金財源となります。
対象と単位
減価償却は耐用年数が1年以上、かつ、原則として1個若しくは1組の金額が10万円以上の有形固定資産及び無形固定資産を対象とします。減価償却計算の単位は、原則として資産ごととなります。建物やソフトウェアなどの減価する資産(償却資産)が減価償却の対象となり、土地など減価が生じない資産(非償却資産)については、減価償却を行うことはできません。
減価償却の方法
減価償却の方法としては、有形固定資産については定額法または定率法のいずれかの方法で償却計算を行います。また、ソフトウェア等の無形固定資産については定額法により償却計算を行います。定額法は減価償却費の金額が毎年同一となる方法で、定率法は資産の帳簿価額に毎年一定の割合の償却率を乗じて計算する方法です。なお、償却方法は、拠点区分ごと、資産の種類ごとに選択適用できますが、拠点区分ごとの選択適用は償却計算を複雑にするのみで実務上のメリットは特段見当たりません。
残存価額の設定
① 平成19年3月31日以前に取得した有形固定資産
有形固定資産について償却計算を実施するための残存価額は取得価額の10%とします。耐用年数到来時においても使用し続けている有形固定資産については、さらに、備忘価額の1円まで償却を行うことができます。
② 平成19年4月1日以降に取得した有形固定資産
有形固定資産について償却計算を実施するための残存価額はゼロとし、償却累計額が当該資産の取得価額から備忘価額の1円を控除した金額に達するまで償却します。
③ 無形固定資産
無形固定資産については、当初より残存価額をゼロとして減価償却を行います。
耐用年数と償却率等
耐用年数は、原則として「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(昭和40年大蔵省令第15号)によります。償却計算は原則として、同省令の定めによるものとし、適用する償却率等は別添2(減価償却資産の償却率、改定償却率及び保証率表)のとおりです。
減価償却資産の償却率、改定償却率及び保証率表減価償却計算期間の単位
減価償却費の計算は、1年を単位として行います。但し、年度の中途で取得又は売却・廃棄した減価償却資産については、月を単位として計算を行います。なお、月数は暦に従って計算し、1か月に満たない端数を生じたときはこれを1か月とします。
減価償却累計額の表示
有形固定資産に対する減価償却累計額を、当該各資産の金額から直接控除した残額のみを記載する「直接法」又は当該各資産科目の控除科目として掲記する「間接法」のいずれかによります。間接法の場合は、これらの資産に対する控除科目として一括して表示することもできます。
無形固定資産に対する減価償却累計額は直接法により表示します。
仕訳の例示
例1)平成30年4月に取得価額100,000,000円で取得した建物を、耐用年数50年の定額法によって償却した。なお、表示は直接法による。
100,000,000×0.02=2,000,000
減価償却費 2,000,000 / 建物2,000,000
例2)平成30年10月に取得価額1,200,000円で取得した車両を、耐用年数6年(償却率0.333)の定率法によって償却した。なお、表示は間接法による。
1,200,000×0.333×6月÷12月=199,800
減価償却費 199,800 / 車両運搬具減価償却累計額 199,800
減価償却費の配分の基準
① 複数の拠点区分又はサービス区分に共通して発生する減価償却費のうち、国庫補助金等により取得した償却資産に関する減価償却費は、国庫補助金等の補助科目に沿った拠点区分又はサービス区分に配分します。
② ①以外の複数の拠点区分又はサービス区分に共通して発生する減価償却費については、利用の程度に応じた面積、人数等の合理的基準に基づいて毎期継続的に各拠点区分又はサービス区分に配分します。