計算書類の注記の記載項目
注記厚労省通知一部抜粋
1.概要と省略できる記載事項
計算書類の注記は上記の別紙1の通り15項目あり、法人全体と拠点区分ごとに作成が必要となります。法人全体用の注記は事業区分貸借対照表内訳表(第3号第3様式)の後に記載し、拠点区分用の注記は拠点区分貸借対照表(第3号第4様式)の後に記載します。法人全体のみに記載する項目は、継続事業の前提に関する注記、関連当事者との取引の内容、重要な偶発債務です。また、継続事業の前提に関する注記、重要な会計方針の変更、固定資産の注記、債権の注記の4項目は該当事項がない場合は注記から記載を省略することできます。他の項目名は記載の省略はできないため、該当事項がない場合には「該当なし」と記載することとなります。
2.各項目の留意事項
- 継続事業の前提に関する注記・・・債務超過や社会福祉法に基づく解散命令の事象等によって事業継続に重要な疑義が生じている場合や、その事象等を解消しまたは改善の対応をしてもなお事業継続に不確実性が認められるときは、事象の内容や対応策、その影響を計算書類に反映しているか否かを注記します。
- 重要な会計方針・・・計算書類の作成に当たり、その財政及び活動の状況を正しく示すために採用した会計処理の原則及び手続並びに計算書類への表示の方法をいいます。なお、代替的な会計処理方法等がない場合には、当該処理方法等の記載の省略ができます。また、拠点区分ごとの注記に会計方針を明記することによって、拠点区分ごとに異なる会計処理方法を選択することができます。
- 重要な会計方針の変更・・・会計方針を変更した場合には、その旨変更の理由及び変更による影響額を記載します。
- 法人で採用する退職給付制度・・・例えば社会福祉医療機構及び都道府県単位の退職共済制度に加入している場合は、「退職給付制度は、独立行政法人福祉医療機構の社会福祉施設職員等退職手当共済制度及び○○県社会福祉協議会の退職給付制度によっております。」のように記載します。
- 法人が作成する計算書類並びに拠点区分及びサービス区分・・・作成する計算書類の記載の他に、作成を省略する計算書類についても、作成省略の理由及びその旨を記載します。
- 基本金の増減の内容および金額・・・金額は取得価額ではなく帳簿価額で記載します。
- 基本金等の取崩し・・・基本金や国庫補助金等特別積立金を取崩す場合に記載します。国庫補助は固定資産の廃棄、滅失、譲渡等による事業活動計算書上において特別増減の部に属する費用の取崩しに限られ、サービス活動増減の部に属する減価償却費等の費用に係る取崩しは記載しません。
- 担保に供している資産・・・福祉医療機構との協調融資以外で民間金融機関等に基本財産を担保提供する場合は、所轄庁の承認を得なければなりません。
- 有形固定資産の注記及び債権の注記・・・貸借対照表で減価償却累計額及び徴収不能引当金を直接法で表示している場合に記載しますが、間接法で表示している場合は注記の必要はありません。
- 満期保有目的の債券・・・評価損益を明らかにするため時価に関する情報を注記として開示します。
- 関連当事者との取引の内容・・・後日詳細を記載します。
- 重要な偶発債務・・・偶発債務とは、債務の保証、係争事件に係る損害賠償義務で将来において法人の実施する事業の負担となる可能性のあるもの等をいいます。該当する場合は、係争事件の内容、相手先等及び見積額等を記載します。
- 重要な後発事象・・・後発事象とは、当該会計年度末日以後に発生した事象で翌会計年度以降の法人の財政および活動の状況に影響を及ぼすものをいいます。計算書類作成日までに発生したものは計算書類に注記が必要となり、後発事象の発生により、当該会計年度の決算における会計上の判断または見積を修正する必要が生じた場合には、当該会計年度の計算書類に反映させることとなります。
- その他社会福祉法人の資金収支および純資産の増減の状況ならびに資産、負債および純資産の状態を明らかにするために必要な事項・・・法人の利害関係者が、法人の状況を適正に判断するために必要な事項で、例示として以下に定める通りです。
- 状況の変化に伴う引当金の計上基準の変更、固定資産の耐用年数、残存価額の変更等会計処理上の見積方法の変更に関する事項
- 法令の改正、法人の規定の制定および改廃等、会計処理すべき新たな事実の発生に伴い新たに採用した会計処理に関する事項
- 勘定科目の内容について特に説明を要する事項
- 法令、所轄庁の通知等で特に説明を求められている事項