社会福祉、公益(一般)社団・財団、NPO法人における持続化給付金

非営利法人も給付金の対象

下記は中小法人等向けの持続化給付金の申請要領の一部抜粋です。要領において会社以外の法人も対象と記載があり、公益社団・財団法人や社会福祉法人といった非営利法人も給付対象となります。

非営利法人_持続化給付金

事業収入50%以下の要件について

 持続化給付金は2020年のいずれかの月の事業収入が前年同月と比較して50%以下となる場合が対象です。詳細はこちらをご覧ください。ここでいう事業収入は売上高を指し、補助金・助成金、寄付金、利息といった営業外のものは事業収入には含まれません。なお、国・地方公共団体からの受託事業による収入は事業収入に含まれます。

社会福祉法人

 社会福祉法人は社会福祉法において定められた第一種社会福祉事業又は第二種社会福祉事業を行っている法人で所轄庁の認可によって設立された法人です。収入の大部分を占めるのが介護給付費や運営費補助金でしょう。事業区分のうち社会福祉事業や公益事業について、介護給付費や運営費補助金は事業収入には含まれませんが、受託事業による収入は事業収入に含まれます。また、就労支援事業における商品や製品の販売収入なども事業収入です。なお、事業区分において収益事業に該当し、法人税の課税対象となる収入は事業収入に含まれると思ってよいでしょう。

公益社団法人・公益財団法人

 公益社団法人、公益財団法人は一般社団法人、一般財団法人のうち所轄庁に公益認定申請を行い、それぞれが認定を受けた法人です。収入は寄付金や助成金が多いですが、法人によっては出版や講演収入といった対価性のある収入や医療収入を得ているケースも少なくありません。寄付金や助成金収入は事業収入には含まれません。正味財産増減計算書において「事業収益」に区分されるものは事業収入に含まれるでしょう。上記の例でいえば出版業といった消費税の課税対象となる収入や医療収入は事業収入に含まれると解釈します。

一般社団法人・一般財団法人

 一般社団法人、一般財団法人は登記によって設立した法人で、所轄庁の認可等の要件はありません。持続化給付金の公益特例における一般法人は法人税法において非営利型に該当する法人です。営利型の一般法人は株式会社等の要件と同じです。非営利型の一般法人で収益事業を営んでいない場合には法人税の確定申告義務がないので、この公益特例が受けられることとなります。添付書類の直前の事業年度の年間収入がわかる書類については、一般法人は明確な会計基準がありませんが、損益計算書、正味財産増減計算書、活動計算書のいずれかになります。

NPO法人

 NPO法人は特定非営利活動法によって定められた事業を行う法人で所轄庁の認証によって設立された法人です。寄付金や補助金収入は事業収入に含まれませんが、国・地方公共団体からの受託事業による収入は事業収入に含まれます。法人税法において規定される34種の収益事業に該当する収入は、事業収入に含まれます。なお、34種に該当しなくとも、講演や研修に係る収入など対価性があり、活動計算書において「事業収益」に区分されるものは事業収入に含まれると思ってよいでしょう。

学校法人

 学校法人は私立学校を設置運営する法人で、所轄庁の認可によって設立された法人です。私立幼稚園や市立小学校等の他、専門学校なども学校法人に含まれます。入学金や授業料などの学費収入の他、寄付金・補助金収入もあります。学費や講座収入などは事業収入に含まれ、寄付金・補助金収入は事業収入から除かれます。

原則と公益特例は選択適用

 中小法人等の持続化給付金の申請に必要な書類は下記のとおりです。

  • 法人税の確定申告書別表一の控え(収受印日付がない場合は受信通知も必要)
  • 法人事業概況説明書の控え
  • 2020年分の対象とする月の売上台帳等
  • 通帳の写し

 このうち上記2つは法人税の確定申告義務のある法人が対象です。非営利法人で法人税の確定申告義務のない場合は、書類を作成しないために今回の公益特例が設けられました。しかし、非営利法人=法人税の確定申告義務がないではありません。法人税の確定申告義務がある非営利法人については、原則と公益特例を選択適用して給付額の算定をすることになります。違いとしては原則では、法人税の課税対象である収益事業に係る収入を給付額算定における事業収入とし、公益特例は対価性のある収入を給付額算定における事業収入と捉えます。例えば非営利型の一般社団法人が物品販売業と講演研修事業を行っている場合です。原則の事業収入は物品販売業のみですが、公益特例は物品販売業と講演研修事業の収入を併せて事業収入となります。なお、物品販売業は法人税の課税対象となり、講演研修事業は非営利型の場合は法人税の課税対象とはなりません。

 参考までに公益特例を適用する場合の必要書類は下記のとおりです。原則はこちらをご覧ください。

非営利法人_持続化給付金_証拠書類