社会福祉法人の貸借対照表と1年基準

貸借対照表

1.構成と特徴

 貸借対照表は資産の部、負債の部及び純資産の部から構成されています。資産の部は流動資産と固定資産に分かれており、固定資産は更に基本財産とその他の固定資産に分類されます。負債の部は流動負債と固定負債に分類されています。また、純資産の部は基本金、国庫補助金等特別積立金、その他の積立金、次期繰越活動増減差額に区分されます。貸借対照表と事業活動計算書の次期繰越活動増減差額は一致する為、整合性を確認することができます。社会福祉法人は施設を有することが多く、また、財源は借入金のほか法人設立時の寄付金の受入れ(基本金)や国や地方公共団体からの補助金の為、固定資産及び固定負債、純資産の部の金額が多い傾向にあります。貸借対照表は決算日現在の預貯金や未収補助金などのプラスの財産、借入金などマイナスの財産の状況をいち早く確認することができます。流動負債より流動資産が多ければ今後の支払いに備えることができますが、経常的に流動負債の金額が多ければいずれ資金が底を付くこととなります。会計ソフトの使用により月毎の貸借対照表も作成できますので、定期的に確認することも大切です。

2.資金収支計算書との関係性

 貸借対照表の流動資産と流動負債は支払資金の範囲とされているため、資金収支計算書の当期末支払資金残高は原則は流動資産と流動負債の差額となります。しかし、1年基準により固定資産負債から流動資産負債に振り分けられたもの、引当金、貯蔵品以外の棚卸資産は支払資金の範囲から除かれています。1年基準とは決算日の翌日から起算して1年以内に入金支払の期限が到来するものは、流動資産負債に属するとする基準です。例えば返済期限が数十年を要する設備資金借入金において1年以内に支払う金額を「1年以内返済予定設備資金借入金」、これ以外の金額を「設備資金借入金」とします。